FDB Møbler J67 ダイニングチェアの魅力

皆様こんにちは。
cerote antiques 千駄ヶ谷店の伊東です。

いよいよ本格的な夏の気配がしてきましたね。

引っ越しシーズンが落ち着き、最近では大型家具よりもオブジェや照明などインテリアのアクセントになる商品をお探しのお客様が増えているように感じます。

一度完成してしまうと中々買い替えるタイミングのない家具。

それでも何か特別な家具を増やしてみると、いつもの部屋でも見える景色が少しだけ違ったり、特別な気持ちで毎日を過ごせるような気がします。

本日は弊社でも最近取り扱い数が増えてきた北欧家具の中から、
デンマーク
FDB MøblerのJ67チェアをご紹介したいと思います。

そしてヴィンテージならではの価値や見分け方について、少しニッチな視点も交えてご紹介します。


FDB Møblerとは? その歴史と理念

FDB Møblerは、1942年にデンマーク生活協同組合連合会(FDB)の家具部門として誕生しました。
「丈夫で、美しく、機能的、そして手頃な価格」という当時としては非常に挑戦的な条件のもと、国民のための家具づくりを目指しました。
その背景には、家具を特別なものから日常のものへと変え、生活の質を向上させたいという強い想いがありました。

初代デザイン責任者ボーエ・モーエンセン、2代目ポール・M・ヴォルタ、そして3代目のアイヴァン・A・ヨハンソンと、名だたるデザイナーたちがその理念を受け継ぎ、数々の名作を生み出しています。


J67ダイニングチェアの個性とその魅力

J67は、1957年にアイヴァン・A・ヨハンソンがデザインしたFDB Møblerの中でも異彩を放つ一脚です。

大きく成型された合板の背もたれと、絶妙な曲線美が特徴で、背面から眺めた時の美しさは格別。柔らかさと逞しさを併せ持つデザインは、他の北欧チェアにはない個性を放っています。

また、ヨハンソンはわずか33歳で代表に就任し、短い任期ながらも独自の世界観を持つ作品を次々と発表。J67もその代表作のひとつで、FDBモブラー自身も「完璧なイディオム」と称賛しています。

ヴィンテージJ67は、現行品にはない経年変化による木肌の深みや、使い込まれた風合いが魅力。新品にはない“物語”を感じられるのも、ヴィンテージならではの特権です。


刻印・ラベルで見分けるヴィンテージの真贋と年代

ヴィンテージFDB Møblerの価値を見極めるうえで重要なのが、刻印やラベルの違いはざっくりとこんな感じ。

  • 1940〜50年代:木部に直接焼き付けられたシンプルなFDBロゴ(三角形や六角形)が特徴。これが残っていれば非常に希少で、コレクターズアイテムとしての価値が高い。

  • 1950〜70年代:赤や青の紙ラベルに「FDB Møbler」「Denmark」などの印字。ラベルが残っていれば年代特定がしやすく、価値も高まります。

  • 1970〜80年代:簡素な焼印や「Made in Denmark」のスタンプ。

  • 2013年以降(復刻):現代的なロゴやフォント、デザイナー名が明記されたラベル。新品同様の質感が特徴です。

    刻印から読み取れる価値

    刻印やラベルは、その家具の「時代性」や「オリジナリティ」を証明するものです。特に初期の焼印や紙ラベルが残る個体は、希少性と歴史的価値が高く、コレクターズアイテムとしての人気も非常に高くなります。

    また、刻印の位置や仕上げの違い、数字の刻印(例:「59 10 3」など)は、製造年・月・工場コードを示す場合があり、細かな年代特定にも役立ちます。

 


年代による価値の違い

ヴィンテージJ67は、特に1950~60年代のオリジナル品に高い価値があります。
焼印や紙ラベルが残っていれば、さらに希少性が増し、コレクターからの需要も高まります。
一方、1970年代以降の簡素な刻印や現代の復刻モデルは、手に取りやすい価格ながらも本物志向の方にはやや物足りなさを感じることもあります。


ヴィンテージJ67の最大の魅力は、何十年も使い込まれたことで生まれる独特の風合いと存在感。

新品にはない木肌の深みや、細部に残る当時の職人技、そして一脚ごとに異なる経年変化の表情が新たな価値となっています。

シンプルなようで個性が光るシルエットなど、ダイニングテーブルやデスクのチェアとしてはもちろんですが、一脚でディスプレイとして使うのもおすすめ。
            
北欧家具の入門としても、こだわりのコレクションとしても、長く愛用できる一品です。

ヴィンテージならではの刻印や経年変化、そしてその背景にある歴史や職人の想いを感じながら、ぜひ“本物”の魅力を味わってみてください。




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