Otto's Alchemy — 釉薬に宿る物語 — 【Vol.2 Krater】

Vol.2:失われた素材が蘇らせた「溶岩の造形」 —— Krater(クレーター)

Otto Keramikの器を前にしたとき、思わず指先で触れてみたくなる。 それは、平面であるはずの陶器に圧倒的な立体感をもたらす、あの「荒々しくも美しいテクスチャー」ではないでしょうか。

今回ご紹介するのは、ブランドの代名詞でもある『FAT Lava』へと繋がる重要な釉薬、【Krater(クレーター)】。 その裏側にある、Otto氏の果てしない探求のストーリーをお届けします。

父の記憶と、失われた素材

「このクレーター釉薬は、父(Otto Keramikの創設者)が手がけた、一番最初の釉薬をどうにか再現したいという思いから生まれました。」

Otto氏はそう語ります。しかし、過去の名作を蘇らせる道のりは、決して容易なものではありませんでした。

「1964年当時に使われていたいくつかの鉱物やベースとなる釉薬は、現代ではすでに手に入らなくなっていました。そのため、特定の焼成温度で発泡し、溶岩(Lava)のような典型的なクレーター状の表面を形成する『全く別の酸化物』を、一から探し出さなければならなかったのです。」

相反する性質がもたらす化学反応

素材が違えば、当然同じようには焼き上がりません。Otto氏は独自の配合を模索し、限界に挑みました。

「ここで特に重要なのは、添加する物質の『量』です。数え切れないほどの実験を繰り返し、ようやくこのクレーター釉薬が完成しました。 しかし、この発泡の化学反応は、私が調合した『半つや消し(セカンドマット)』のベース釉薬と組み合わせた時にしか成功しません。逆に、光沢のある釉薬には発泡を防ぐ物質や鉱物が含まれているため、それらを一緒に使うと表面は滑らかに焼き上がってしまうのです。」

Instagramなどでもご紹介している、滑らかな光沢と荒々しいクレーターが同居するアーティスティックな作品群。それらは決して偶然の産物ではなく、異なる性質を持つ素材同士の緻密な計算と、化学反応のコントロールによって生み出されているのです。

FAT Lavaへの架け橋、そして手仕事の誇り

「何年にもわたる多くの試行錯誤の末、私はついに1964年の典型的な『FAT Lava』釉薬を生み出す物質を見つけ出しました。つまり、このクレーター釉薬は、FAT Lavaへと至る『移行期』の作品、架け橋とも言える存在なのです。」

Otto氏の手によって現代に蘇り、さらなる進化を遂げた釉薬。最後に、小さな工房で独自のクリエイションを続けるOtto氏の「哲学」を教えてくれました。

「私たちのような小さな工房は、大規模な工業生産では決して作れないような釉薬を、常に生み出し続けなければなりません。大量生産品と明確に差別化できなければ、安価なものに埋もれてしまうからです。 だからこそ私たちは、近づいて見つめた時に、まるで『3次元の立体絵画』のように見えるほどの、圧倒的な輝きと色の深みを持つ釉薬を使用しているのです。

これらの実験には、本当に膨大な時間がかかります。しかし、私はそれだけの価値があると信じています。」

 

機械による均一な大量生産ではなく、Otto氏が人生の時間をかけ、幾度もの失敗の末にたどり着いた「奇跡のバランス」。

店頭でOtto Keramikの作品を手に取る機会がございましたら、ぜひその表面を至近距離からじっくりと眺めてみてください。複雑に絡み合う色の深みとクレーターの質感に、1964年から続く歴史のロマンを感じていただけるはずです。

Instagram でも、今回ご紹介したテクスチャーの魅力を随時発信しております。ぜひそちらもご覧ください。

Otto Keramik Tokyo
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